フランチャイズ加盟を検討するとき、私たちはつい「このシステムを使えば稼げるか」という問いに引き寄せられます。けれども、その前に確認しておきたいことがあります。それは、あなたが学ぶ期間に何が提供されるのか、そしてその学びが実際の運用の中でどこまで通用するのかという点です。
Dream Pony System(DPS)は、株式会社DREAM PONYが提供するAmazon無在庫物販のフランチャイズです。公式サイトでは「自動出品と無在庫販売を活用したEC物販支援サービス」と説明されており、月々2万円からの分割開業、1日1時間のスキマ時間での運用、未経験でも月商100万円超えといった訴求がされています。
この記事では、DPSの評判を、提供される環境の実在と、時間をかけても解決しない構造的な要素の両面から整理します。学ぶ側の努力で身につく部分と、学ぶ側の努力では回避できないリスクを分けて見ていきます。
ドリームポニーシステムが用意している環境、システムとサポートの実在
まず確認しておきたいのは、DPSが加盟者に対してどのような学習環境を用意しているかという点です。システムとサポートの存在については、公式の説明と利用者の声の双方から確認することができます。
出品作業を効率化するシステムの存在
DPSでは、商品の出品作業を自動化・効率化するためのツールが提供されています。フランチャイズ比較ネットの掲載ページには「独自システムとネットワークを活用した最新ネットショップビジネス」との記載があり、公式サイトでは「AIリサーチ機能」「価格と在庫の24時間自動同期」「一括管理ダッシュボード」といった機能が紹介されています。
このシステムの出品効率については、利用者からも一定の評価があります。副業被害報告サイト(fukugyo.blog)のコメント欄には、2026年7月に投稿された現役利用者の声があります。投稿者は「まああね」と名乗る人物で、ミギウデシステムという名称で言及していますが、これはDPSの前身と考えられる商材です。『ミギウデシステムツールを使用すると効率的に商品出品が出来て1ヶ月も続ければ、さばき切れないほどの受注を得る事ができました』と記載されています。
この証言から読み取れるのは、システムそのものの出品効率は実在するということです。出品作業を繰り返すことで、商品を大量に並べる技術は身についていくと考えられます。ただし、この投稿には続きがあります。それは次の節で扱います。
週2回のミーティングとチャットサポート
DPSでは、加盟者に対して定期的なサポートが提供されているとされています。フランチャイズ比較ネットには「週2回のオンラインミーティング、チャットサポート、専任サポートチーム」との記載があります。
先ほどの現役利用者の投稿でも『毎週、勉強会が開かれており、サポートはしてくれています』との記述があり、定期的な学習の場が設けられていることが確認できます。サポートの存在そのものは、否定的な文脈で投稿されたコメントの中でも認められているという点で、信頼性があります。
また、2026年8月に投稿された別の利用者のコメントでは、設定段階で困難があったものの『サポート通りに設定しています』との記載があり、マニュアルや指示が存在していることが読み取れます。
これらの情報から、システムと定期サポートという学習環境は、形としては用意されていると判断できます。出品作業の手順を覚えること、システムの操作に慣れることは、この環境の中で時間をかけることで身についていく類のものです。
しかし、身につけた技術が実際の運用で通用するかどうかは、別の問いです。次に見ていくのは、時間をかけても解決しない要素です。
時間をかけても解決しないもの、Amazon規約との整合性
学習環境が整っていても、学んだ手法そのものが販売先の規約と整合しない場合、それは学ぶ側の努力では回避できない問題になります。DPSの場合、この問題がAmazonの規約との関係で報告されています。
無在庫物販とAmazonのドロップシッピングポリシー
DPSは公式に「無在庫型の物販モデル」を採用していると説明しています。無在庫物販とは、注文が入ってから仕入れ先に発注し、仕入れ先から購入者へ直送する方式です。在庫を持たなくてよい反面、Amazonではこの方式に制約があります。
Amazonのドロップシッピングポリシーには、『出品者が記録上の出品者であることが購入者に明確でない限り、第三者が出品者に代わって購入者へ直接出荷することは認められない』という規定があります。つまり、仕入れ先から購入者へ直送する場合、納品書や梱包に出品者名が明記されている必要があるということです。
この規約と、DPSの運用モデルがどのように整合しているのかについて、公式の説明資料には記載がありません。そして、実際に規約違反を理由としたアカウント停止の報告が複数確認されています。
受注の半分以上がキャンセルになった現役利用者の証言
先ほど紹介した現役利用者の投稿には、出品効率を認める記述の後に、運用上の深刻な問題が続けられています。
『しかし、無在庫物販は受注後に商品を準備するため、商品発送までに時間が掛かりすぎ受注の半分以上がキャンセルとなり、顧客とのトラブルが絶えませんでした。結論としては、受注がたくさん取れてもトラブルだらけで疲弊する、最悪、アカウント凍結になります』
この証言から読み取れるのは、出品と受注の獲得には成功しているが、無在庫方式の構造的な制約によって注文の半分以上が履行できていないという状況です。Amazonの出荷前キャンセル率の目標値は2.5%未満です。半分以上のキャンセルは、この基準を大きく超えています。
投稿者は最終的に『アマゾンでの物販テクニックは教えてくれるので、そのノウハウを学びながら別途、キチンとした商品卸売り業者との連携を進める。無在庫物販から健全な在庫物販へ切り替えていっています』と記しています。つまり、DPSで学んだ技術を活かしながらも、DPSが提供する無在庫方式そのものからは離脱する判断をしたということです。
これは、サポートの質の問題ではありません。無在庫方式という構造そのものが、Amazonの運用基準と噛み合っていないという問題です。
規約違反の手法をマニュアル化していたという被害報告
2026年8月にfukugyo.blogに投稿された被害報告には、より直接的な記述があります。この報告は商材名を明記していませんが、内容は「Amazon無在庫物販」であり、同社のAmazon無在庫フランチャイズはDPSのみです。
報告者は2026年5月に加盟し、6月に制限対象外商品の販売を理由にアカウントが停止されたと記しています。その後、家族名義で新アカウントを作成したものの、1つ目のアカウントとの関連性を理由に再び停止されたとのことです。Amazonでは正当な理由なく複数アカウントを運用することは禁止されており、関連性が認められたアカウントは連鎖的に停止される仕組みになっています。
この報告で注目すべきは、次の記述です。『ドロップシッピングは出品者が記録上の出品者であることが購入者に明確でない限り認められない、というAmazonの規定を確認。同社がマニュアルやZoom会で指導していた「直送」の手法自体がAmazonの規約違反であったと判明』。
報告者は本部に対して、『アカウント停止リスク等の事前説明が一切なかった』『規約違反となる「直送」をマニュアル・手順として案内していた』『トラブル発生時には一切のサポートを行わない姿勢』という3点を問題として挙げています。
もしこの報告が事実であれば、これは学ぶ側が注意すれば避けられる問題ではありません。教えられた手順そのものが規約に抵触していたということになります。
この報告の加盟金は160万円と記載されています。フランチャイズ紹介サイトの表記は120万円ですので、プランや時期による差があるのかもしれません。いずれにしても、契約前にこのリスクの説明があったのか、そして本部がこのリスクにどのような責任を持つのかは、書面で確認しておく必要のある事項です。
ミギウデシステムからDPSへ、改称と初期費用の変化
ここで、DPSという商材の成り立ちについて触れておきます。公式の説明はありませんが、いくつかの事実を並べると、DPSはミギウデシステムという名称の商材の改称版である可能性が高いと考えられます。
フランチャイズの窓口の掲載ページは、2024年8月時点では「ミギウデシステム、通常50万円の初期費用」との内容でしたが、現在は同じURLで「Dream Pony System(DPS)、通常120万円の初期費用」と表示されています。フランチャイズ比較ネットのURLは「migiudesystem_fc」のままで、ページ内容はDream Pony Systemになっています。
2026年7月の公式PRの自社ブランド一覧には、ミギウデシステムの名前はなく、DPSが記載されています。一方、2025年8月に投稿されたYahoo知恵袋の投稿では、元執行役員を名乗る人物がDREAM PONYの運営フランチャイズとして「BuyUp(旧BuyLink)、ミギウデシステム、AutoQ」を列挙しており、この時点ではまだミギウデシステムという名称が使われていたことになります。
改称と同時に、初期費用の表記が50万円から120万円へと変わっています。ミギウデシステムに関する評判は、fukugyo.blogのコメント欄に多数寄せられていますが、そこには被害者の会への参加希望、集団訴訟の呼びかけ、元関係者を名乗る人物による内部告発などが含まれています。2026年4月の追記では元関係者を名乗る人物が『自社口コミサイトやブログ記事を捏造してグーグルに公開している。社長本人証言。ネットに載っている良い口コミはほとんどが捏造』『実際に儲かっているという加盟者を私は見たことがありません』と投稿しています。
これらの声がミギウデシステム時代のものであるとしても、同じ枠組みで名称だけを変えて継続している場合、評判の材料として無視できるものではありません。改称の理由も、値上げの理由も、公式には説明されていません。評判をリセットする意図があったのではないかという見方は、名称変更と値上げが同時に行われた事実から生じる自然な疑問です。
加盟者同士の価格競争とロイヤリティの非公開
DPSの構造には、もう一つ時間で解決しない要素があります。それは加盟者同士の競合です。
同じシステムで同じ商品を同じ場所に出す構造
DPSでは、加盟者全員が同じ自動出品システムを使い、同じ商品を、同じAmazonに出品します。商品選定にAIリサーチ機能が使われているとすれば、システムが推奨する商品は加盟者間で重なる可能性があります。
加盟者が増えるほど、同じ商品を扱う出品者が増え、価格競争が発生しやすくなります。この構造は、加盟者個人の努力で回避できるものではありません。本部が加盟者数をどこまで増やすのか、商品選定にどれだけの分散性を持たせているのかは、本部側の判断です。
フランチャイズ比較ネットには「他店実績:プランにより異なるため、詳しくは説明会でご確認ください」との記載があります。実績が公開されていないため、現在何人の加盟者が稼働しているのか、加盟者間の競合がどの程度発生しているのかは、外部からは分かりません。
売上連動ロイヤリティの率と上限が非公開
DPSのロイヤリティは「売上連動ロイヤリティ(上限あり)」と記載されていますが、その率も上限額も公開されていません。フランチャイズ比較ネットには「想定収益:プランにより異なるため、詳しくは説明会でご確認ください」との記載があるのみです。
売上連動ロイヤリティは、売上が増えるほど支払額が増える仕組みです。仮に売上が100万円になったとして、その何パーセントが本部に支払われるのかが分からなければ、手元に残る利益を計算することはできません。上限があるとされていますが、その上限額がいくらなのかも示されていません。
ロイヤリティの計算式は、加盟後の収支を左右する最も重要な条件の一つです。それが契約前に明示されていないということは、説明会に参加し、契約書を見るまで収益性の判断ができないということです。
fukugyo.blogのコメント欄には、2026年1月に投稿された利用者の声があります。『融資を受けることを薦められ収支計画書、事業計画書を作ってもらった際にもかなり稼げる内容がかかれており、契約書にサポート、問題解決、情報の共有、研修などありとか書いてありますがほぼ0で一切何もしてくれません。自分の場合4ヵ月で収入0という凄い実態です。契約書の中に売れるというのは保証しないというやらしい内容の事も書かれている』との記述があります。
この投稿からは、収支計画書に記載された想定と実際の結果が大きく乖離していること、契約書に売上保証がないことが読み取れます。ロイヤリティの計算式が分からないまま、想定収益だけを示されて契約することは、契約後に何が起きるのかを判断する材料を持たないまま進めることになります。
契約前に確認しておきたい3つの書面
ここまで見てきた要素を踏まえて、契約前に確認しておきたい事項を整理します。これらは口頭の説明ではなく、書面で確認すべきものです。
Amazonのアカウント停止が起きたときの本部の責任範囲
第一に、Amazonのアカウント停止が起きたとき、本部がどのような責任を負うのかを書面で確認しておく必要があります。
前述の被害報告では、『トラブル発生時には一切のサポートを行わない姿勢』と記載されています。もしアカウント停止が本部の指示した手法に起因するものであっても、本部が責任を負わないという取り決めになっていれば、加盟者がすべてのリスクを負うことになります。
契約書に「本部は出品方法を指導するが、Amazon側の判断については一切の責任を負わない」といった条項があるかどうかを確認してください。また、アカウント停止が起きた場合の復旧支援、代替手段の提供、加盟金の返還といった取り決めがあるかどうかも重要です。
2026年8月のコメントでは、設定段階で3ヶ月かかり『やめたいのですが、違約金がかかるとか』との記述があります。アカウント停止を理由に解約する場合、違約金が発生するのか、発生する場合の金額と条件は何かも、契約前に確認しておくべき事項です。
違約金の条件と金額
第二に、中途解約時の違約金の条件と金額です。
契約期間は1年間とされていますが、期間内に解約する場合の違約金がいくらになるのか、どのような条件で免除されるのかは、契約書に明記されているはずです。
前述の報告では、加盟金160万円を支払った後、アカウント停止により運用ができなくなったにもかかわらず、違約金の存在が解約の障壁になっている様子が読み取れます。仮に初期費用を分割で支払っている場合、違約金と残債の両方を負担することになるのか、それとも残債の支払いが免除されるのかも確認が必要です。
フランチャイズ比較ネットには「開業お祝い金の対象企業」との記載があります。紹介サイト経由で加盟した場合、お祝い金の受け取りに一定期間の継続が条件となっている可能性があります。その期間内に解約する場合、お祝い金の返還義務が生じるかどうかも確認しておく必要があります。
ロイヤリティの計算式と上限額
第三に、ロイヤリティの計算式と上限額です。
売上連動ロイヤリティの率が何パーセントなのか、上限額がいくらなのか、支払いのタイミングはいつなのかは、手元に残る利益を計算するために必要な情報です。これらが契約書に明記されているかを確認してください。
また、ロイヤリティの対象となる「売上」が何を指すのかも重要です。Amazon上の表示売上なのか、実際に入金された額なのか、キャンセルや返品があった場合の扱いはどうなるのかも確認しておく必要があります。
前述の現役利用者の証言では、受注の半分以上がキャンセルになったと報告されています。仮にキャンセル前の受注額に対してロイヤリティが計算される仕組みであれば、実際の入金額よりも多くのロイヤリティを支払うことになります。
環境の有無ではなく、環境が何を教えているかで判断する
DPSが提供している学習環境、つまりシステムとサポートの存在は、複数の情報源から確認できます。出品作業の効率化、定期的なミーティング、チャットでの質問対応といった要素は、形としては用意されています。
しかし、その環境の中で教えられる手法が、販売先の規約と整合しない場合、それは時間をかけても解決しない問題です。土が痩せていれば、どれだけ丁寧に水をやっても実はつきません。
Amazonの規約と無在庫物販の構造には、根本的な緊張点があります。その緊張点を誰が負担するのか、アカウント停止が起きたときに本部が何をしてくれるのか、それが書面に明記されているかどうかが、判断の材料になります。
契約前の説明会では、成功事例や想定収益が示されるでしょう。その数字を見る前に、まず書面で確認すべき事項を明確にしておいてください。それは、あなた自身が負うリスクの範囲を決める作業です。環境があるかどうかではなく、その環境が何を教えているのか、そして教えられた通りにやったときに何が起きるのか、その責任を誰が負うのかを見てください。
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